現れます(図4右)。この傾向は頭蓋骨縫合が癒合していない乳幼児で特に顕著であり、頭が大きくなることにより圧を緩衝するため、腫瘍が非常に大きくなるまで発見されにくいことがあります(図4左)。
(2)局所神経症状:運動麻痺や脳神経麻痺のように脳の一部分の障害による症状を局所神経症状といいます(図5)。痙攣もしばしば認められます。脳の際だった特徴として、運動や言語、視覚などの機能が特定の場所に局在しているため、脳腫瘍はその発生部位により実に様々な症状を示します。言語、感情、記憶、人格などの高次脳機能は人として最も大切な機能であり、脳腫瘍の恐ろしさはこのような機能にまで障害が及びうるところにあります。
(3)内分泌症状:脳には下垂体という内分泌器官が付属しているために、その機能不全あるいは機能過剰から生じる末端肥大、クッシング症候群などの症状を内分泌症状といいます(図6)。胚細胞腫の中にはでは思春期早発が見られることがあります。小児ではホルモンを産生する下垂体腺腫は稀であり、むしろ下垂体機能が障害されることによる症状を呈することが主となります。下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンが障害されると、大量の尿が出る尿崩症(にょうほうしょう)になります。尿崩症で発症する腫瘍も稀ではありません(胚細胞腫)。下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモンや副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモンの分泌障害も成長期には大きな問題となりますが、これらのホルモンは幸い薬によって補充することが出来ます。
<水頭症> 頭蓋内圧が亢進するもう一つの大きな要素として水頭症があります。小児の脳腫瘍は正中部あるいは小脳や脳幹に発生しやすいことから、高率に水頭症を伴います。例えば小脳正中部に発生した腫瘍のために髄液の流れが妨げられることにより、脳室が拡大します(図7)。症状は頭蓋内圧亢進症状を呈します。
脳は髄液に浮かぶように存在します。脳の中には髄液に満たされた複雑な形をした脳室が存在します。脳室系は側脳室、第3脳室、第4脳室の異なった部屋に別れており、側脳室内に存在する脈絡叢という組織で作られた髄液はモンロー孔という狭い穴を通って第3脳室に移行し、次に中脳水道という最も狭い管状の構造を経て第4脳室に移行した後、脳室から出て脳表のくも膜下腔で吸収されます(図8)。成人では脳室内の髄液量は150ml、1日の産生量500ml 近くになるとされます。モンロー孔や中脳水道などの狭い部位の近くに腫瘍が発生すると、容易に髄液の流れがせき止められて、上流に髄液が貯溜するため水頭症が発生します。
水頭症の治療は、髄液の流れを止めている腫瘍を取り除く手術、貯まった髄液をお腹の中に導いて吸収させる脳室?腹腔短絡術(のうしつーふくくうたんらくじゅつ、シャント手術)、あるいは、第3脳室の底に内視鏡で穴を空けて髄液が脳表に直接流れるようにする手術があります。それぞれに一長一短があり、個々の条件に最も適した方法を選択します。
6. 脳腫瘍の診断法 診断には症状から診断する臨床診断、様々な機器を用いる画像診断、腫瘍組織による病理診断という段階があります。画像診断で最も重要なものはMRIとCTスキャンです。MRIの最大の利点は、脳を切る断面を自由に選べること、また、撮影条件を変えることにより、腫瘍の性質や脳との関係を明らかにすることが出来る点にあります(図9)。また、MR血管撮影を行うことにより、苦痛を伴う脳血管撮影を減らすことが可能になりました。しかし、撮影に時間がかかることから、小児ではかなり強い鎮静が必要であるという問題があります。
脳血管撮影は、腫瘍を栄養する血管を明らかにすることにより、手術を行う上での重要な情報を得ることが出来ます(図10)。腫瘍の種類によっては必要となります。私どもの施設では、観血的検査である脳血管撮影は必要な場合のみに全身麻酔下で行なっています。
病理診断は、専門家以外の目に触れることはほとんどありませんが、脳腫瘍の治療において極めて重要な位置を占めます(図11)。手術中に採取した組織を凍らせて診断する、術中迅速診断と、永久標本を作製した後に、時間をかけて診断する方法の2種類有ります。外科医は、術中迅速診断に基づいて腫瘍の摘出範囲を決定しますし、最終診断を待って化学療法や放射線照射の要否を決定します。病理専門医は、集学的治療チームの中で極めて重要
な地位を占めています。 病理診断に必要な組織は、主として開頭による腫瘍摘出で得られますが、時に開頭手術が困難な部位に腫瘍が存在する場合があります。このような場合には、定位脳手術(ていいのうしゅじゅつ、図12)や内視鏡により腫瘍の一部を採取する生検(せいけん、バイオプシー)が行われます。
早期発見の難しい癌
肺がんは早期発見すれば高い確率で治るがんであるにもかかわらず、治りにくいがんの代表のようにいわれています。
それは、肺がんのなかでも約半分を占める腺がんには、ほとんど自覚症状がないため、早期発見が難しいからです。
腫瘍マーカーとは、体内でがん細胞が作り出す特有の物質(糖たんぱく質やホルモン、酵素など)またはがん細胞と反応して正常細胞が作り出す物質のことです。
いわば、がん細胞が体内にあることを示す目印(マーカー)というわけです。
これらの物質は、血液中や排泄物(尿、便)中に流れ出します。したがって、血液中や尿中などに腫瘍マーカーが含まれているかどうかを調べることによって、体内にがん細胞があるかどうかを診る一つの目安となります。一般的に腫瘍マーカーは、患者さんの血液を検査することによって調べます。
腫瘍マーカーは、腫瘍細胞だけでなく正常細胞でも作られますので、健常な人体内にもわずかに存在します。
また、悪性腫瘍(がん)だけでなく、良性の疾患でも上昇することがあります。
検査で腫瘍マーカー値が上昇したからといって、必ずしもがん細胞があると確定することはできません。
また、腫瘍マーカー値は、がんの早期の段階では必ずしも上昇するとは限らないので、
マーカー値が低いからといって、がん細胞が存在しないと確定することもできません。
このように、腫瘍マーカー値は健常な人でもゼロではなく、ある一定の範囲内の値を示します。この状態を「陰性」といいます。そして、体内にがん細胞ができたり、良性の疾患が起きたり、その他の要因によって、値が上昇します。
腫瘍マーカーには「これ以上の値の時は癌である場合が多い」という値があります。これを基準値といい、基準値を超えた状態を「陽性」といいます。また、良性の疾患が原因で基準値を超えた場合を「偽陽性」といいます。
しかし、前にも述べたように、腫瘍マーカー値は様々な要因で上昇するので、基準値を超えたからといって、すぐに何らかの病気であるということはできません。病気があるかどうか、さらに、その病気が癌であるかどうかを確定するには、画像検査や生検など、その他の複数の検査結果から総合的に判断する必要があります。
腫瘍マーカーの内、体内の特定の臓器細胞でのみ作り出されるものがあります。これを「臓器特異性が高い」といいます。例えば、肝細胞がんに対する「AFP」、前立腺がんに対する「PSA」がそれです。
この種の腫瘍マーカーが異常値を示した時には、すぐにその臓器の疾患を診断することができます。
しかし、多くの腫瘍マーカーは複数の臓器で作り出されるため、ある特定の腫瘍マーカー値が上昇したからといって、その臓器と疾患を特定することはできません。
大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収しながら大便にするところです。多種、約2mの長さがあり、結腸と直腸、肛門からなります。小腸から大腸に移行するところに回盲弁があり、盲腸の下端に虫垂突起があります。盲腸から続いて上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸と続き、そして直腸、肛門になります。肛門に近い約20cmを直腸、それ以外の部位を結腸と呼びます。
大腸癌(大腸ガン)とは?
大腸癌とは、この管腔の粘膜面に発生した悪性腫瘍です。
大腸がんは、日本人に増加傾向が著しいがんです。毎年約6万人が罹患し、2015年ごろには胃がんを抜くとの予測もあります。
また、大腸がんによる死亡は、男性では肺がん、肝臓がんに次いで3番目、女性では1番目に多くなると推定されています。男性も女性もほぼ同じ頻度で大腸がんにかかります。60歳代がピークで70歳代、50歳代と続きます。欧米と比べ、10歳ほど若い傾向があります。5~10%の頻度で30歳代、40歳代の若年者に発生し、若年者大腸がんは家族や血縁者の中に多発する傾向が認められることがあります。
大腸がんができやすい部位は直腸とS状結腸で、全体の約70%をしめています。特に直腸は全大腸がんの約50%が発生するほどがんができやすい場所です。2番目に多いのは便が長い間貯留しているS状結腸です。
正確な理由はわかりませんが、一つには、内容物(便)が硬くなってきている部位では粘膜面の細胞の剥がれ落ちる数が多く、その分補強される数も多い(細胞分裂が盛んである)ためと考えられています。
大腸癌(大腸ガン)の原因
大腸がんの発生には、遺伝的因子よりも環境的因子の比重が大きいと考えられています。食生活の急激な欧米化、特に動物性脂肪やタンパク質の取り過ぎが原因ではないかといわれています。動物性の脂肪を摂ると、消化を助けるために胆汁酸が多く分泌されます。脂肪の消化の際に発生する物質のなかに発がん物質があり、大腸の粘膜にがんが発生すると考えられています。しかし、5%前後の大腸がんは遺伝的素因で発症するとされています。大腸がんにかかりやすい危険因子として、
大腸ポリープになったことがある。
血縁者の中に大腸がんにかかった人がいる。
長い間潰瘍性大腸炎にかかっている。
治りにくい痔瘻(じろう)。
などの因子が指摘されています。大腸内視鏡を用いた精度の高い検査では、大腸ポリープはかなりの頻度で見つかります。一部のポリープはがんになることがありますが、多くはがんにはなりません。ポリープが見つかった場合は専門医に相談し、大きさ、かたち、色調を診てもらい、内視鏡的ポリープ切除などの適切な処置を受ける必要があります。
大腸癌(大腸ガン)の症状
早期のがんは、症状はまずありません。血便のある場合はがんの注意信号です。がんの表面が潰瘍で出血しやすくなっているためです。肛門に近い部位にがんができた場合排便の際に肛門から出血する場合もあります。この症状は痔核と思われて放置されることがあります。がんによる血便では肛門痛がなく、暗赤色の血液が便に混じったり、ときに黒い血塊が出るなどの特徴があります。痔核と診断するためには大腸がんでないことを確認する必要があります。大腸は長い臓器であるため、部位によって症状が異なります。
またインターフェロンやインターロイキンを投与する生体反応活用法もあります。化学療法はあまり効果が期待できません。
血尿、腹部のしこり(腫瘍)、わき腹の持続的な痛み(疼痛)、発熱、体重減少、貧血のほか疲れやすく感じることがあります。
腫瘍が小さいうちは症状がありません
最初は自覚症状がほとんどなく、現われるのは血尿です。
診断に際しては、尿に悪性細胞が含まれているかどうかを見る細胞診、膀胱鏡検査、正検、膀胱?尿道造影検査、リンパ管造影検査などが行われています。
癌の性質や病状によっても治療法は異なります
(1)手術 (2)放射線 (3)抗癌剤 となります。
抗癌剤の効果
初期の乳がんの場合は西洋抗癌剤の効果が期待できる癌です。
生存率
10年生存したら、15年まで生存できる可能性が高いがんです。
自覚症状
乳がんの自覚症状として、最も多いのはしこりです。感触としては石のような硬さがあります。9割の人が自分で見つけて病院に行きます。
転移のルート
手術が基本です
一般には、できるかぎり手術を行って、病巣を摘出する根治的治療法がとられます。この目的のために手術療法と放射線療法を併用する場合もあります。
手術が出来ないほど、がんが進行している場合や、重い合併症があったり、高齢者などで手術に耐えられないと診断された場合には、放射線療法が主体となります。
化学療法は、現段階では補助的な治療法と考えられており、とくに手術の出来ないⅣ期などの進行例や再発例に対して延命を期待して行われます。
放射線治療
く、子供が後に生めるようにしておきたい場合、腫瘍のある卵巣のみを摘出します。) 癌が広がっている場合、可及的腫瘍切除術としてできる限りの癌腫を取り除くようにします。?の方法で腫瘍の量を減らし、化学療法や放射線療法を行ないます
化学療法では普通複数の薬剤を併用します。抗癌剤は静脈内注射か、経口投与で行なわれます。いずれにしても化学療法は薬が血流にそって体内にゆきわたる全身療法になります。化学療法は周期的に行なうことが最も多く、治療期間、休薬期間を繰り返してゆきます。場合によっては通院で、又は自宅で治療を受けることもあります。主治医の選んだ薬、投与法、全身状態によっては、治療中数日の入院を必要とすることがあります。
その他の投与法として腹腔内化学療法があります。これは薬をカテーテルを通じて直接お腹の中に投与するものです。この方法では薬は直接癌に到達します。治療は入院で行ないます。
がんセンター研究所研修生を経て研究員として腫瘍免疫学を6年間学んだ。がんの発症機構を明らかにしなければ、根本的な解決につながらないと考え、米国がん研究所客員研究員およびワシンントン大学ハワードヒューズ医学研究所研究員として3年間、血液のがんを対象として分子生物学的研究を行い、がんセンターに再就職。血液のがんは、研究成果が直接、診断治療につながっていくので、大切な研究領域であると確信している。(医学博士)
都築 忍:室長
血液内科医として、第一赤十字病院、病院、付属病院に勤務した後、英国へ留学。2001年よりがんセンターに勤務。マウスモデルを用いて白血病化機構を解析中。リンパ腫の病態解析にも力を入れていきたいと考えています。
主任研究員
5年間の臨床経験をした後がんセンターに研修生として着任。研修生時代は悪性リンパ腫の染色体転座から作られる異常蛋白の機能
皮膚ガンには有棘細胞ガン、基底細胞ガン、悪性黒色腫(メラノーマ)、ページェット病などの種類があります。
手術でガンを取り除く方法が中心
その際には実際のガンより大きく、深く取り除くことが必要なので皮膚移植が行われることも少なくありません。
胃がんは肺がんと並んで死亡率の高いがんですが、最近20年間で死亡者数は半減しています。その背景には早期発見の増加があります。
早期の胃がんは、外科手術により、90パーセントの方が完治します。
急性骨髄性白血病
ただ、残念な事に進行がんの場合の手術による治癒率は50パーセントにとどまっています。
胃がんは、外科手術、放射線治療、抗がん剤という三大療法が標準治療となっておりま
急性骨髄性白血病
す。
しかしながら、胃がんでは外科手術、放射線治療、抗がん剤という標準治療だけでは、
急性骨髄性白血病
太刀打ちできないケースがあることも事実です。
免疫細胞療法には、活性化リンパ球療法や樹状細胞療法、自家がんワクチン療法など
急性骨髄性白血病
多くの治療法がありますが、胃がんに対しては、NK細胞療法が有効との症例がすでに 報告されています。
急性骨髄性白血病
クリニックではこのNK細胞療法と、自律神経免疫療法とを組み合わせた「複合免疫療法」により、胃がんに対して身体にやさしい治療、あきらめない治療を積極的に行っています。
急性骨髄性白血病
進行性胃がんに対する標準治療の限界とは…
胃がんに関しては、ことに進行がん、再発がん、転移がんといった場合、ほとんどのケース
急性骨髄性白血病
で 根治治療(完全治癒を目指す治療)としての外科手術が適応外となり、化学療法(抗癌剤治療)が中心となります。しかしながらこの抗がん剤治療は、治癒を目指すものではなく、
急性骨髄性白血病
腫瘍の縮小が その目的となります。腫瘍の断面積が2分の1になった状態が4週間続けば、奏功したと表現されます。
2012年2月23日星期四
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