に患者の意識をさまし、脳機能を実際に確認しながら切除範囲を決める方法(覚醒下手術、を行うこともあります。
3.治療方法その2:放射線治療
悪性脳腫瘍の術後に化学療法(抗がん剤による治療)と併用して行われるのが一般的です。良性腫瘍でも、再発をきたした場合や一部に悪性度の高い部分がみられる場合には、放射線治療を行うことがあります。放射線治療は、正常脳にも放射線がかかるため、線量(どれだけ多く放射線をかけられるか)に限界があります。また最大線量を照射した場合には1回しか照射できません。このような放射線治療は通常外照射(頭の外から放射線をかける方法)で行われます。放射線治療装置は多くの病院に普及しており、病変部に可能な限り多くの線量をかけ、正常脳の線量を少なくする工夫がなされています。1日に2グレイという線量で25日から30日にわたって照射を行うことが一般的ですが、疾患によって異なります。
一方、最近、ガンマナイフという新しい放射線治療装置が開発されました。これは病変部に1回で大量の放射線を照射する装置です。転移性脳腫瘍、聴神経腫瘍、再発した脳腫瘍(髄膜腫、下垂体腫瘍)などに用いられます。ただし、病変の大きさが3cm以下であること、視神経などと十分に離れていることなどの制限があります。また、このガンマナイフは、高価なものであり、一部の病院にしか備えられておらず、多くの病院ではガンマナイフを備えた近隣の病院と提携して治療を行っています。
このガンマナイフに類似したものとして、サイバーナイフという新しい放射線治療装置も開発されています。
脳腫瘍とは、頭(頭蓋骨)の中にできた“できもの”のことを言います。頭蓋骨の中には大脳?小脳?脳幹などからできている脳そのものと、脳の底面に存在する下垂体、脳から出ている脳神経や脳を取り巻くクモ膜や硬膜、脳を栄養している血管などが存在します。つまり、脳腫瘍は、これらの頭蓋骨の中に存在する組織から発生した“できのも”の総称です。また、頭以外に腫瘍(癌、肉腫など)が出来て脳の中に転移を起こしたものを転移性脳腫瘍といいます。
脳腫瘍は他の臓器と同様に悪性腫瘍と良性腫瘍が存在します。悪性腫瘍はその成長が早いため、早期に治療を行う必要があり、術後に放射線治療や化学療法を必要とする場合があります。一方、良性腫瘍は悪性腫瘍ほどその成長は早くないものの、放置により腫瘍が巨大化し、腫瘍が良性にも関わらず生命の危険性を有します。ここでは、頻度の高い脳腫瘍について解説いたします。
皆様は脳腫瘍と聞いてどのようにお考えになるでしょうか?「脳腫瘍になったら命が危ない」と思われる方も少なくないと思います。しかし、脳神経外科医療は手術を中心に現在の最先端脳神経外科医療を駆使して、多くの患者さんが、仕事や家庭生活に復帰されることを可能にした20世紀に最も進歩した医学?医療の一つです。ここでは、この脳腫瘍を正確にご理解いただくことが大切と考え解説させていただいています。
脳腫瘍の症状
脳腫瘍の症状は、その腫瘍がどの部分にできたかにより異なります。つまり脳腫瘍が出来た部分の脳の機能が障害されて症状となって表れます。具体的には、手足に力が入らなくなったり、しびれたり、物が見難くなったりします。物がだぶって見えるようになったり、顔の痛みがでたり、音が聞こえにくくなったりすることもあります。また、けいれんの発作や頭痛などの症状で現れることもあり、様々な症状があります。しかし、これらの症状があるからといって必ずしも脳腫瘍があるわけではありません。これらの症状が良くなることなく日に日に悪化するような場合には、早めに専門医
脳腫瘍の診断
脳腫瘍の診断に一番威力を発揮するのは頭部CTおよびMRIです。これだけで診断できる場合も多いですが、手術をしてその腫瘍の一部を調べなければ診断できないこともあります。
転移性脳腫瘍とは
転移性脳腫瘍は,不幸にして体の他の部位に癌をお持ちの方が,その治療後あるいは治療前,治療中に脳内に癌が転移してきたものです.このような病気は平均寿命の伸びとともに増加し,我々が治療いたします全脳腫瘍の16%近くあります.肺癌(約半数),乳癌(硬膜転移が多い)からの転移が多くみられます.周辺の脳を侵し,徐々に進行し脳組織の損傷による障害がでてきます.病気の進行と共に脳の損傷は強くなり,重篤な神経症状が出るだけでなく,頭蓋内の圧が上昇します.これは頭蓋骨という一定容積の入れ物の中に腫瘍という余分なものが出来たことと,脳の腫れによる脳そのものの大きさの増加によるものです(これが強いのが転移性脳腫瘍の特徴と言われております).腫れた脳は行き場を失って本来頭蓋内にある隙間から飛び出しますこれが脳嵌頓(ヘルニア)と言われる極めて危険な状態で,脳の深部の出血を伴い患者さんを死に至らしめる大きな原因となります.
患者さんの現在の状態について
患者さんは脳腫瘍により,脳圧の亢進があります.脳圧は一時的には薬物治療にて下げることができますが,短時日の内に効果が期待できなくなります.したがって,早急に外科的に脳圧を下げることが必要です.放置すれば死亡する可能性が高いと考えます.痙攣を合併したり,腫瘍の中に出血を生じることがあると,更に急変することも十分予想されます.
我々の計画している治療法について
周辺の脳への圧迫を取り除き,脳の腫れを少なくする必要があります.我々は患者さんの血管撮影,MRI,CTなどの検査をし,様々な角度より治療法を検討を行います.脳以外の癌病巣の状態から予想される生存期間が3ヶ月以内であるならば、ステロイドや浸透圧利尿剤などによる保存的治療を行います。予想される生存期間が6ヶ月以上の場合は単発症例では手術+全脳照射を、また多発例では放射線照射(定位および全脳)治療が考えられます。6ヶ月以内の場合は患者様の状況により手術を考慮する可能性があります。
開頭による腫瘍摘出術の合併症について
手術中,手術後の頭蓋内出血と脳浮腫
腫瘍摘出術の際最も問題となるのは手術中,手術後の頭蓋内出血と脳浮腫です.腫瘍の種類によっては著しい出血を来すものが有ります.いずれの合併症の場合にもその程度により再手術が必要となる場合が有りますが,起れば生命にかかわる極めて危険な状態となり得ます.
-こうした問題点を踏まえて我々は患者さんの術中,術後管理を厳重に行います.-
2.脳梗塞,手術による脳損傷
手術中に脳を栄養する動脈を損傷しその結果脳梗塞を生じる可能性があります.また,腫瘍を摘出する際いかに注意深く完全な手術をしたと思っても,現在機能している脳あるいは神経を損傷し,の機能障害を生じる可能性があります.
3.感染
生体は皮膚,粘膜などに被われ外からの微生物の侵入を防いでいます.開頭手術により脳,硬膜,皮下組織などが露出されてしまいます.我々は無菌手術を心がけていますが,手術の際微生物の侵入を100%ゼロにすることは現在の医学水準からは困難です.従って,術中,術後にわたりこうした微生物を殺す薬剤すなわち抗生物質を投与します.多くの患者さんではこうした治療により術後感染の問題は生じませんが,患者さんの抵抗力が弱かったり,抗生剤の効き目が悪かったりすると術後,細菌性髄膜炎,脳膿瘍,皮下膿瘍,硬膜外膿瘍などの感染性合併症を生じる可能性があります.
4.麻酔,輸血,薬剤などによるショック,肝炎の感染の危険性.
開頭手術のためには麻酔薬,抗生物質をはじめ様々な多くの薬剤を使用します.これらの薬剤は高い安全性が確立されていますが,人によっては使用した薬剤に対し過敏な反応ショック(薬剤アレルギー)や予想しえない副作用を生じることがあります.
手術時,皮膚切開などからの出血をできるだけ少なくすることを心がけますが,出血量が多くなると輸血をする必要があります.輸血用の血液は病院で用意します.これらの血液はすべてB型肝炎ウィルス,C型肝炎ウィルス,エイズウィルス,梅毒の検査がすべて陰性のものです.しかし,これらの検査は100%完全ではなく希に輸血によりこれらの感染症にかかることがあります.
5.原則的には元の腫瘍(原発巣)が充分に治療されているか,治療できる(全摘出)ことが脳の転移巣を手術する為の条件になります.更に他の臓器の癌巣や全身状態で余命が6ヶ月以内と判断された場合も手術は勧められません.さらに脳転移巣を安全に摘出し得ても本来他臓器に癌巣があると考えられ,術後に悪化することも充分に予想されます.
6.手術により脳内に癌が散らばる(播種)場合があります.もし起れば短期間で死亡することが予想されます.(手術後放射線治療,化学療法が必要な理由の一つです)
6.糖尿病,高血圧,肺気腫,胃潰瘍,パーキンソン病,内分泌疾患,精神疾患など様々なこれまで顕在化していなかった疾患が手術を契機として発症することがあります.また患者さんがこれまで既往疾患として持っておらる病気がより重くなることもあります.
7.手術時間が長くなり同じ体位をとり続けると,手術台などの器具に接触している手足,体部,胸部などに褥創を生じることがあります.また,眼球部が圧迫を受けると失明することもあります.
8.開頭する際,頭蓋骨を一部切除する可能性もあり,手術後頭蓋骨が変形し美容上問題を生じることがあります.
9.その他予想外の合併症.
我々は厳重な術中,術後管理にてこうした合併症の発生を防止するよう努力しますが,残念ながら予想できない事態が起こってこうした合併症を生じることがあります.これらの合併症を生じ,最悪の場合は死亡したり,重い神経後遺症を生じる可能性もあります.
手術侵襲が拡大する可能性について
手術前の検査にて発見できなかった,病気(たとえば脳動脈瘤,他の脳腫瘍など)が偶然手術操作中に見つかった場合,その病気に対する治療を行います.
2.開頭による腫瘍摘出術の合併症のところで述べたように,手術中頭蓋内出血を生じ出血が止まらないときや脳浮腫が著しく生命にかかわる場合,脳の一部分を切除することがあります.
このように予想していない事態により予定していた手術よりも手術侵襲が拡大することもあります.
開頭による腫瘍摘出術の後,再手術あるいは他の治療を必要とする場合について.
我々は1回の開頭手術にて完全な腫瘍の摘出をめざしますが,一度の手術では完全に摘出することが危険と判断される場合(摘出することにより重要な動脈,脳神経組織が損傷され術後重い後遺症がでる可能性が高いとき),完全な摘出を行わないこともあります.これらのように腫瘍が1回の手術で治療できなかったときは再びもう1回の手術を計画するかまた別の治療法を計画し患者さんに再び説明いたします.
その他の治療法について
上記以外にも次のような治療法が考えられます.
ガンマナイフ(特殊な放射線治療装置)による治療.
ガンマナイフによる治療は多くの脳神経外科施設にて行われています.そしてその治療効果も確認されています.現在我々の施設ではガンマナイフによる治療は行っていませんが,我々がガンマナイフ治療がより適切であると判断したり,特にガンマナイフを希望される患者さんにはガンマナイフ治療が可能な施設に紹介しています.
ガンマナイフ治療には次の利点,問題点があります.
利点:手術に伴う危険性を回避しうる.
問題点:効果のある治療を行うためには腫瘍の大きさに制限が有ります.複数個の腫瘍に対しては複数回の治療が必要になります.手術と異なり腫瘍が縮小するまでに時間を要しま
す,従ってこの間薬物治療にて生命の危機を乗り切れる事が条件です.
2.放射線療法,化学療法(抗癌剤),免疫療法
利点:手術に伴う危険性を回避しうる.
問題点:特定の癌を除いて有効性が認められていない.
3.これまで説明したように治療には様々な問題を生じることがあります.従って,こうした危険性をさけ様子を見るすなわち経過観察を希望される患者さんもあると思います.この場
合脳の腫れを引かせるために薬物療法(ステロイド等)が必要となります.最初の間は効果が有りますが,約2-3ヶ月で死亡される場合が多いようです.
こうした問題もあり患者さんの場合は開頭術による腫瘍摘出術,術後放射線療法のほうがよいと我々は考えています.如何なる治療を選択しても一般的には予後は不良です.治療後1
年間社会生活が営めれば,治療は成功と考えられています.残念ながら多くの場合脳腫瘍の再発はなく,他臓器の癌巣の悪化で死亡されます.
患者さん,患者さんの家族の方が我々の計画している開頭術による腫瘍摘出術を拒否され別の治療法を選択されても,患者さんが拒否したことにより不利益は被りません.すなわち治
療途中で退院を早めるとか,あるいは今後,診療治療を行わないなどのことは決して我々はしません.またいったん我々の予定している開頭術による腫瘍摘出術に同意された後でも患
者さん,患者さんの家族の方が開頭術による腫瘍摘出術を拒否され別の治療法を選択されてもその理由で患者さんには不利益は被ることはありません.
1 脳腫瘍とは
脳腫瘍は、頭蓋内(つまり頭蓋骨の内側です)に発生する腫瘍(新生物、いわゆるできもの)のことです。脳そのものだけでなく、脳を包む膜(髄膜)や脳に出入りする神経など、脳の様々な部分に発生する腫瘍をすべて含めて脳腫瘍と呼びます。脳腫瘍の種類は非常に多く、100種類以上ありますが、ここでは日常よくみられる代表的な脳腫瘍について治療方法を述べていきたいと思います。
脳実質の外に発生するほとんどの脳腫瘍は、発育速度が遅く、手術で全て摘出できる場合も多く、生物学的にも臨床的にも良性の経過をとります。髄膜腫(ずいまくしゅ)、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)などがこうした良性腫瘍に含まれます。
一方、脳の実質内に発生する腫瘍の多くは発育するスピードも早く、周りの脳に浸潤す(腫瘍細胞がしみ込むように発育すること)ため、手術によって全て摘出することが困難です。生物学的にも臨床的にも悪性の経過をとる腫瘍です。多くの神経膠腫(しんけいこうしゅ:グリオーマ)、中枢神経原発悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍、転移性脳腫瘍(癌の脳転移)などが悪性腫瘍に含まれます。
脳実質外に発生する良性腫瘍と脳実質内に発生する悪性腫瘍では、治療の方針が異なってきます。従いまして、治療の方針の決定には、どのような脳腫瘍であるかを調べなくてはなり
リンパ白血病
ません。脳腫瘍の診断は、手術で摘出した腫瘍組織を顕微鏡で調べる“病理組織診断”に基づいて最終的に決定されます。病理組織診断によって初めて脳腫瘍としての診断名が確定
リンパ白血病
し、その後の治療方針を決めることができるのです。病理組織診断を目的として手術を行うことも、腫瘍を可及的に切除することと病理組織診断を共に目的として手術を行うこともあ
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ります。
組織診断を目的とした手術を「生検術」といいますが、これは開頭して行う場合と、コンピ
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ューターで計算した経路で定位的に採取する場合があり、病変の部位や性質に応じて最適な方法がとられます。最近では手術ナビゲーションシステムが開発され、これらの手術が一層
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安全に行えるようになりました(図1)。ただこの手術ナビゲーションシステムは高価なため、これを導入している病院はまだ少ないのが現状です。
リンパ白血病
切除が可能な部位にできた腫瘍の場合、安全に摘出できる範囲で腫瘍の切除を行います。トラクトグラフィーといわれる神経線維の走行の画像診断(MRIを用いて神経線維の走行を描
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き、病変部との位置関係を把握します)(図2)、前述のナビゲーションシステム、様々な手術中の電気生理学的モニタリング(図3)、術中超音波診断装置などを用い、可能な限り
リンパ白血病
安全な手術を行います。また、蛍光物質(5-ALA)により手術中に腫瘍細胞と正常脳を見分けたりします。手術中
2008年4月2日星期三
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