肺がん(肺癌)は1998年に胃がんを抜いて日本人のがんでもっとも死亡率の高いがんになりました。男女比は3:1で男性に多く見られます。
年間に発症する率では胃がんのほうが高いのですが、それにもかかわらず肺がん(肺癌)の方が死亡率が高いということはそれだけ肺がんが治りにくい がんであることが理解いただけると思います。
肺がん(肺癌)の主な原因としてはなんといっても喫煙が挙げられます。タバコを吸う人ほど肺がんにかかりやすくなり、 一般に重喫煙者(1日に吸う本数×喫煙年数=600以上の人)は肺がんの高リスク群といわれています。
毎日喫煙する人は非喫煙者と比較して4.5倍程肺がんを患うリスクが高くなります。また、 喫煙開始年齢(タバコを吸い始める年齢)が低いほど肺がんのリスクは高くなり 20歳以下で喫煙を開始すると肺がんになるリスクは6倍程度までになるといわれています。
米国における喫煙とがん死亡についての調査によれば相対リスクは男性で22倍、女性で12倍になると発表されています。
副流煙にも発がん性の物質はたくさん含まれています。タバコを吸い始める年齢が低いほど肺がんのリスクは高くなります。 親が喫煙する場合子供が喫煙者となる率も高くなります。
禁煙してから10年程度で吸わない人とほとんど変わらないくらいまでリスクを少なくすることができます。今からでも遅くはありません!ご自身はもちろん、ご家族のためにもぜひ禁煙をすることをお勧めします。
肺がんの原因は他に大気汚染や放射性物質、アスベストなどの関連性もあるといわれています。肺がん(肺癌)の分類
肺がんは「小細胞がん」と「非小細胞がん」の2つの型に大きく分類されます。 非小細胞がんはさらに「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」の3タイプに分類され、それぞれのタイプによって発生する部位がある程度決まっています。
小細胞肺がんと「扁平上皮がん」は特に喫煙との関係が濃厚であると考えられており、患者さんの多くは喫煙者になります。
気管から枝分かれした太い主気管支は分岐を繰り返して肺の奥まで伸びています。気管支の太い部分を肺門部、細い部分を肺野部と呼びます。
小細胞がんと扁平上皮がんは肺門部に、腺がんと大細胞がんは肺野部にできやすい肺がんになります。
日本では肺腺がんの発生頻度がもっとも高く、男性の40%、女性では70%程度を占めます。 続いて扁平上皮がんが男性の40%、女性の15%程度、小細胞がんが肺がん全体の15%程度を占め、大細胞がんは5%程になります。
小細胞肺がんは細胞の増殖スピードが速く、脳や骨、リンパ節、肝臓、副腎などに転移がしやすい悪性度の高いがんですが、 他の肺がんと違い抗がん剤や放射線療法が効きやすいがんになります。(”効く”というのは”治る”ということではありません)
大細胞がんは増殖スピードが速いのですが、症状が出にくいために肺がんと診断されたときにはがんが大きくなっていることも珍しくありません。
肺がん(肺癌)の症状
肺がん(肺癌)は早期では症状が起こりにくく、そのため発見が遅れてしまい見つかったときには肺癌がかなり進行しているという特徴があります。 特に肺の奥の部分(肺野部)にできるがんは、さらに症状が現れにくくなります。つまり、日本人に多い肺腺がんは症状が現れにくいということあり、進行してしまうことが多くなります。
肺がんの症状として多く見られるのは、咳や痰、血痰です。他に胸痛や喘鳴(ぜいめい:呼吸時のぜーぜー音)、息切れ、呼吸困難、声のかすれなどが見られることもあります。
小細胞がんや扁平上皮がんは比較的早い段階から症状が出ることが多いのですが、腺がんなど肺野にできるがんではがんが進行してから症状が出るようになります。
肺がん(肺癌)は脳や骨に転移しやすいため、脳転移による頭痛や骨転移による腰痛、背骨や肩の痛みなどが続くことで気が付く場合もあります。
食欲不振や体重減少なども起こります。
小細胞肺がんでは、がん細胞が種々のホルモンを産生するため稀にムーンフェース(顔が丸くなる)や肥満、血圧が高くなる、血糖値が高くなるなどの症状が出ることがあります。
肺がん(肺癌)の診断
肺がん検診では胸部X線写真と喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)がスクリーニング検査として行われます。X線検査は胸部に放射線を照射し肺の像を撮影します。喀痰細胞診は顕微鏡を使って痰の中にがん細胞があるかを調べます。
肺野部の肺がんは胸部X線写真で発見されやすいのですが肺門部の肺がんでは写りにくく画像による発見は難しくなります。肺門部にできるがんは喫煙と深く関係していることが多く、痰の中にがん細胞が見つかることで早期に 発見することができる場合があります。
スクリーニング検査で肺がんの疑いがあると診断された場合にはCT検査が行われます。
CT検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って非常に鮮明な画像を得ることができます。リンパ節への転移の有無も判断することができます。最近はヘリカルCTと呼ばれる肺のX線断層写真を断続的に撮影できる装置が主流となってきており、従来のCTと比較して短時間で検査が終わるため、患者さんが動いて撮影位置がずれてしまうという問題点が解消されるようになりました。
さらに高分解能CTやマルチスライスCTなど高性能のCT検査が一部で行われるようになってきました。
以上の検査で肺がんの疑いが強い場合には、病巣部分の組織を採取して顕微鏡を使ってがんの診断をする生検を行います。
生検には気管支鏡という内視鏡をつかって病巣の一部をとり組織を調べる気管支鏡検査や経皮針生検といってCTで目標を定め、特殊な針を皮膚から刺して肺の病巣を取って調べる検査が行われることがあります。
CT検査などでがんの疑いが非常に強く、さらに病巣が肺に留まっている可能性が高く、 手術が可能であると判断された場合には開胸生検といって、胸部を切開し病巣を取って調べ、 肺がんであることが確定した場合にはそのまま摘出手術に移行する方法が取られることもあります。
肺がん(肺癌)と診断された場合にはがんが肺から他の臓器に拡がっているかさらに詳しく検査をする必要があります。
脳のCT検査、コンピュータに連動した磁石を使用して詳細な画像を得ることができる磁気共鳴装置と呼ばれる機械を使ったMRI検査、腹部のCT検査、超音波検査、骨シンチグラフィーという骨のレントゲン検査、放射性同位元素を用いたPET検査、腫瘍マーカーの検査などが必要に応じて行われることになります。
肺がん(肺癌)の治療
治療方法を決めるにあたり
肺がんの治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット?デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。
また医療の進歩とともに肺がんの治療方法も多様化してきており、 医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド?オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。
肺がんの治療法は主に「外科療法(手術)」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤)」となります。がんのある場所、肺がんのタイプ、病期(ステージ)、患者さんの体力、健康状態などから判断して治療法が決定されます。
小細胞肺がんとそれ以外の「非小細胞肺がん」とで性質が大きく異なるため治療方針も分けて考えます。
-非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)-
病期潜在期
痰の中にがん細胞が見つかっているがどの場所にがんがあるのか分からない非常に早期の段階。がんは気管支を覆う細胞の細胞層の一部のみにある早期の段階。
がんが原発巣にとどまっており、大きさは3cm未満であり、リンパ節や他の臓器に転移を認めない段階。
がんは原発巣にとどまっているが、大きさは3cm以上で、リンパ節や他の臓器に転移を認めない段階
がんは原発巣と同じ側の肺門のリンパ節に転移を認めるが原発巣のがんの大きさは3cm未満であり、他の臓器には転移を認めない段階
がんは原発巣と同じ側の肺門のリンパ節に転移を認め、原発巣のがんの大きさは3cm以上であるが他の臓器には転移を認めない段階、あるいは、原発巣のがんが肺をおおっている胸膜?胸壁に直接浸潤しているが、リンパ節や他の臓器に転移を認めない段階
原発巣のがんが直接胸膜?胸壁に拡がっているが、転移は原発巣と同じ側の肺門リンパ節まで、または縦隔と呼ばれる心臓や食道のある部分のリンパ節に転移しているが、他の臓器には転移を認めない段階
原発巣のがんが直接縦隔に拡がっていたり、胸水があり、原発巣と反対側の縦隔、首のつけ根のリンパ節に転移しているが、他の臓器に転移を認めない段階
原発巣の他に、肺の他の場所、脳、肝臓、骨、副腎などの臓器に転移(遠隔転移)がある場合-小細胞肺がん-
小細胞肺がんは非常に進行が早く、発見された時点で手術ができなくなってしまった進行がんで発見されることが多いためがんの転移が胸部に留まる限局型と遠隔臓器にも転移している進展型に分類します。
病期限局型
縦隔や鎖骨のリンパ節に転移があったり、がん性の胸水を伴う場合でも原発のがんが片側の肺及び胸郭にとどまっている状態。
進展型がんが肺の外に拡がり、遠隔転移のある場合。
肺がん(肺癌)の治療-外科手術
早期に発見された非小細胞肺がんの場合、外科療法が第一選択肢になります。
非小細胞肺がんではII期、場合によってはIIIa期までが手術の対象になります。小細胞肺がんの場合には病巣が3cm以下で完全に肺の中に留まっていて転移が無い場合に手術が行われる場合がありますが、そのようなケースは非常に稀です。
肺は肺葉と呼ばれるブロックに分かれています。左肺は上葉と下葉、右肺は上葉、中葉、下葉に分かれています。
手術が行われる場合には、少なくともがんを含む肺葉部分を切除するか、片側の肺の全てを切除する場合があります。さらにリンパ節に転移がある場合には転移しているリンパ節も切除します。
肺がんの場合、開胸手術が一般的ですが、一部で胸腔鏡を使った手術が行われています。患者さんの負担が少ないのがメリットですが、技術的には大変高度なものであり危険性も高い手術になります。また手術の確実性も開胸手術には及びません。
がんのある位置によって転移しやすいリンパ節の位置がある程度分かるようになってきたため、目に見える転移が無くても予防的にその部分のリンパ節を切除するのが一般的になっています。(下記厚生労働省 肺がんの診療指針参照)
肺がん(肺癌)の治療-放射線療法
放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法です。放射線療法は局所療法(体の一部にだけ有効)であるため適応となるのは非小細胞肺がんでは手術ができないI期~IIIa期、胸水がないIII期、小細胞肺がんの場合には限局型になります。
正常な細胞に放射線が照射されると正常な細胞がダメージを受け副作用が出ることがあります。副作用には治療中又は治療直後にでるものと、半年~数年後にでてくるものとがあります。
放射線の照射量には決まりがあり、無理をして大量の放射線照射を行うと強い副作用が出る可能性が高いため注意が必要です。
肺がんに対する放射線治療ではエックス線、ガンマ線、電子線などの他に陽子腺や重粒子線などを使った治療も 一部の施設で行われるようになってきましたが、まだ治療は始まったばかりであり経験が浅く 副作用などについても明らかになっていないことも多いのが実際です。
肺がん(肺癌)の再発防止のためとして放射線療法を行うことには否定的な診療指針を厚生労働省がまとめました。 (下記厚生労働省 肺がんの診療指針参照)
肺がん(肺癌)の治療-化学療法(抗がん剤)
非小細胞肺がん>では「シスプラチン:商品名=シスプラチン」 「硫酸ビンデシン:商品名=フィルデシン」 「硫酸ビンブラスチン:商品名=エクザール」 などを組み合わせた多剤併用療法が一般的です。 他にマイトマイシンC、 イリノテカン=カンプト、 パクリタキセル=タキソール、 ゲムシタビン=ジェムザール、 ドセタキセル=タキソテール、 カルボプラチン=パラプラチン、アムルビシン=カルセドなどが使われることがあります。
また、最近では「ゲフィチニブ:商品名=イレッサ」という分子標的薬といわれる新しいタイプの抗がん剤が使われることが多くなっています。
ただし、非小細胞肺がんの場合には、抗がん剤の効き目はあまりよくなくがんが縮小するのは30%~せいぜい50%程度に留まります。また、一度効き目があった場合でもがんが耐性を持つようになるため次第に効き目がなくなってしまいます。
非小細胞肺がんの場合、化学療法が適応になるのはIII期以降になります。
一方の<小細胞肺がん>では有効な抗がん剤が多く、 「シスプラチン:商品名=シスプラチン」と 「エトポシド:商品名=ラステット、 ベプシド」を使った多剤併用療法が標準治療です。 ほかにもカルボプラチン=パラプラチン、 イリノテカン=カンプト、 ドキソルビシン=アドリアシン、 シクロホスファミド=エンドキサン、 ビンクリスチン=オンコビン、 イリノテカン=カンプト、アムルビシン=カルセド、 カルボプラチン=パラプラチンなどが使われることが多いようです。
小細胞肺がんは抗がん剤が効きやすく一時的に縮小することも珍しくはありませんが、一定期間後に再び大きくなってしまうことがほとんどです。◆厚生労働省 肺がんの診療指針◆
2003年8月2日までに厚生労働省の研究班がまとめた肺がんの診療指針によれば、 非小細胞
白血病小児
肺がんで摘出手術に加え再発防止のために行われる周囲リンパ節を全て切除する手術は、 「早期肺がんの場合、体調の改善や再発を少なくする上で推奨するだけの根拠がない」と指
白血病小児
摘。 これまで標準的とされた外科的治療法に、疑問を投げ掛けています。
また、肺がん摘出手術後に「再発防止のため」と行われる放射線照射についても 「かえって
白血病小児
状態を悪化させるので行うべきでない」と警鐘を鳴らしています。
指針では肺がん患者の80%~85%が喫煙者であるとして「喫煙者が肺がんになる危険率
白血病小児
は非喫煙者の10~20倍高い」 と警告をしており、他人のたばこの煙による受動喫煙でも21~26%肺がんの危険率が増すとし、 喫煙者や受動喫煙がある人は、がん発見のための
白血病小児
検査を受けることを考慮すべきだとしています。
さらに副作用死が多数報告され問題になっている抗がん剤イレッサについては、「一部症例
白血病小児
で有効性が示されているが、生存期間を延ばす効果は証拠が不十分である」としています。
放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法では白血球減少による免疫力の低下が起こりやすい
白血病小児
ため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。 免疫力を賦活させることが大切です。
白血病小児
また、骨髄損傷による白血球減少、血小板減少、貧血などが起こりやすいため造血機能を強化することも大切になります。
2010年6月3日星期四
订阅:
博文评论 (Atom)
没有评论:
发表评论