急性白血病の治療は年々進歩してきています。これには、新規抗がん剤の開発、大量投与による治療効果の改善、補助療法(無菌室の使用、抗生剤、抗真菌剤、輸血療法および病 カイン療法など)の進歩などが、大きく寄与しています。今回は、おもに急性白血白病細胞を根絶すること白血病治療の目的血
白血病が見つかったときには、体内には白血病細胞が1012(一兆)個以上あるといわれています。この白血病細胞を根絶することが、治療の目的になります。
治療は、寛解導入療法と寛解後療法の大きく分けて二つに分類されます。寛解導入療法とは、完全寛解状態(骨髄中の白血病細胞が5%以下で、かつ末梢血?骨髄が正常化し、白血病に基づく症状や所見が消失した状態)に導くための治療法です。
しかし寛解状態が得られても、体内には白血病細胞が108~109個残っていると考えられています。このように白血病細胞が残存した状態で治療をしないでいると、再発してきます。そこで、この残存した白血病細胞を根絶するために、くり返し寛解後療法が必要となります。
急性骨髄性白血病の寛解導入療法?寛解後療法に使用される抗がん剤は、サイトシンアラビノシドとアントラサイクリン系薬剤に大別され、この二種類を組み合わせて使用します。また、これらの薬剤に6-メルカプトプリンなどを加えることもあります。これらをもちいることにより、寛解導入療法で55~80%の寛解率と寛解後療法で30%の治癒率が得られます。
急性骨髄性白血病のなかでも、急性前骨髄性白血病は特殊で、これにはレチノイン酸というビタミンAの誘導体が有効です。レチノイン酸には、未成熟な白血病細胞を成熟白血球に誘導するはたらきがあります。ただし、このレチノイン酸だけでは治癒は望めません。したがって、やはり抗がん剤を使用した治療が必要ですが、ほかの白血病と異なり、寛解率?治癒率は高いといわれています。
成人急性リンパ性白血病の治療の中心となる抗がん剤としては、アントラサイクリン系薬剤、ビンカアルカロイド系薬剤、プレドニンおよびL-アスパラギナーゼがあげられます。これらを組み合わせた化学療法で寛解率は75~90%になりますが、再発が多いため、治癒率は30~45%です。
白血病細胞は、遺伝情報をもっているDNAを複製して二倍にし、そして分裂します。これをくり返して、体内で増殖していきます。抗がん剤には、細胞が増殖することを抑えるはたらきがあります。多くの抗がん剤は白血病細胞だけに有効なわけではなく、正常の分裂可能な細胞にもはたらいてしまい、それが副作用として現れます。
DNA合成阻害剤
DNA合成阻害剤は、大きく二つに分けられます。DNA合成に必要な材料を不足させる抗がん剤と、DNAの合成を不能にする抗がん剤です。前者は代謝拮抗剤といわれ、6-メルカプトプリン、サイトシンアラビノシド(キロサイド(1)、サンラビン(2))、メトトレキセートおよび慢性骨髄性白血病におもにもちいられるハイドロキシウレアがあげられます。後者としてはアントラサイクリン系薬剤(ダウノマイシン(3)、アクラシノン(4)、ノバントロン(5)、イダマイシン(6))があげられます。
副作用としてこれらの抗がん剤に共通して、骨髄のはたらきが一時的に低下すること(骨髄抑制)があげられます。そのほかに、6-メルカプトプリンには肝障害があります。サイトシンアラビノシドには肝障害、嘔気?嘔吐、脱毛があります。また、大量療法時におこる可能性がある小脳障害が有名です。アントラサイクリン系薬剤には、使用量が増えてくることによる心筋障害があります。ハイドロキシウレアには口内炎、脱毛があります。
細胞分裂を障害する薬剤
細胞が二つに分裂する際に、必要な紡垂糸を障害することで作用を発揮します。オンコビン(7)などの薬剤が、急性リンパ性白血病に広く使用されています。副作用としては、骨髄抑制は少なく、手足の指先のしびれや麻痺性のイレウスなどの神経障害が特徴的なものです。まれながら血中ナトリウム値の低下がおこります。
レチノイン酸
レチノイン酸というビタミンAの誘導体に、白血病細胞を正常な細胞に分化誘導するはたらきがあることは、古くから知られていました。とくに急性前骨髄性白血病に有効で、この薬剤だけで寛解状態に達することもあります。
この薬剤はトレチノイン(ベサノイド(8))という経口剤です。副作用として肝障害、皮膚角化、発熱、呼吸不全、胸水および循環障害などをおこし、この状態をレチノイン酸症候群といいます。これは、レチノイン酸の中止とステロイドによる治療で改善します。
その他
急性リンパ性白血病細胞は、アスパラギンを必須アミノ酸として生存しています。しかし、正常細胞はアスパラギンを合成することができますが、白血病細胞はそれができません。そのため、アスパラギンを分解する作用のあるL-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ(9))は、白血病細胞のみを障害することができます。副作用として、骨髄抑制は少ないですが、肝障害、膵炎、全身倦怠感およびショックなどがあげられます。
慢性骨髄性白血病に対してはインターフェロンがもちいられ、多くの症例で効果を上げています。副作用としては、発熱、全身倦怠感、血小板減少およびうつ症状などがあげられます。
以上、おもに急性白血病の治療方法と抗がん剤のはたらきや副作用についてお話ししました。抗がん剤には強い副作用がつきものです。しかし、だからといって副作用を恐れているばかりでは、急性白血病の治療目的に達することはできません。副作用はでないにこしたことはないのですが、病気を治すためにはこれらのくすりが必要です。
つねに治療効果と副作用をてんびんにかけて最善の治療を行おうとしている主治医?看護婦の医療チームと、よく相談しながら治癒をめざしていただければと思います。
白血病
未熟な白血球が、骨髄[こつずい](造血器)の中で異常に増殖するため、正常な血液細胞の増殖が抑えられてしまう病気です。
白血病は、増殖している細胞の形態から急性型と慢性型に分けられます。急性型は症状が激しく、慢性型はゆっくりしているのが普通です。また、異常に増殖している血球の性質から骨髄性とリンパ性に分けられます。わが国では、慢性型のほとんどが骨髄性です。
急性白血病は、日本人の場合には、人口10万人につき毎年3~4人の割合で発生します。大きく急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の2つに分けられ、細胞の形態、細胞の表面形質、染色体変化などによりそれぞれさらに細かく分類されています(FAB分類*)。
急性白血病FAB分類
国際的に使用されている分類法で、急性骨髄性白血病は8つに、急性リンパ性白血病は3つに分けられています。
これは治療方針を決めるうえで、大切な分類です。
白血球は、骨髄[こつずい]などの造血器で幹細胞から分化(成熟)します。なんらかの異常により、この幹細胞が分化する能力を失い、未熟な細胞(白血病細胞)が骨髄内で無制限な増殖を起こしているのが急性白血病です。
貧血、感染による高熱、出血が主要症状
白血病では、異常細胞が骨髄[こつずい]を占領するために正常の血液をつくる能力が障害され、赤血球、白血球(好中球)、血小板が減少してきます。そのため、赤血球の減少による貧血、白血球減少による感染、血小板減少が原因となって出血が起こったりします。また、白血病細胞が血流にのって全身の臓器に入り込み(浸潤といいます)、その臓器のはたらきを障害し、いろいろな症状を起こし、生命を脅かすのです。
自覚症状は高熱、出血傾向(鼻出血、紫斑[しはん]、歯肉出血など)、歯肉の腫れ、貧血、めまい、倦怠感[けんたいかん]など、症例によりまちまちです。なかにはかぜだと思って病院に行ったら、血液検査で異常を指摘され、白血病が発見されることもあります。白血病細胞を撲滅し、そののちに正常な血液をつくる力を回復させることを目的として行う強力な治療です。末梢血液や、骨髄[こつずい]の所見が正常と見分けがつかない状態への回復(完全寛解といいます)をめざして行う治療なので、寛解導入療法と呼んでいます。化学療法と補助療法に分けられます。
化学療法とは、白血病細胞の撲滅をめざして行う薬(抗白血病薬)による治療です。有効な薬剤を組み合わせて使用する多剤併用療法が行われます。治療に伴う副作用としては、消化器症状、脱毛、感染症、肝障害、出血傾向などが挙げられます。
急性前骨髄球性白血病と呼ばれるタイプではビタミンAの誘導体を使った分化誘導療法が行われます。これは、従来の治療法とはまったく異なるもので、「薬剤により白血病細胞を分化させて病気を治そう」という画期的な治療法です。
病状により化学療法と組み合わせて行うこともあります。
補助療法とは、骨髄のはたらきが戻るまでの期間に起こる可能性のある出血?感染に対する治療のことです。無菌室をはじめとする感染予防対策の進歩、感染症に対する新しい抗生物質の開発、輸血の発展などの進歩があり、急性白血病の治療成績*は向上してきています。
急性白血病の治療成績
完全寛解率は70~80%、化学療法による5年生存率は30%前後と考えられます。
造血幹細胞移植を行うと50~60%くらいの生存率が期待されます。
【地固め療法と維持強化療法】
分化誘導療法を行った症例を含め完全寛解となっても、なお体内には多数の白血病細胞が残存しているので、その後の治療をしなければ再発してきます。
この、再発を防ぐ(すなわち治癒をめざす)ために、完全寛解に入った患者さんに行われる治療を地固め療法、維持強化療法と呼んでいます。
【造血幹細胞移植】
化学療法だけでは治癒しにくいタイプや再発した症例には造血幹細胞移植を行うことにより治療成績を向上させることができます。専門家と相談して方針を決めることが大切です。
慢性骨髄性白血病
多能性幹細胞(血球をつくる、いちばんもとになる細胞)のレベルで異常をきたした造血細胞の腫瘍性増殖[しゆようせいぞうしよく]に原因する疾患です。
急性白血病と違って、病状は徐々に進みます。約80%に脾臓[ひぞう]の腫れがみられ、健康診断のときにそれがきっかけで見つかることもあります。血液検査をすると白血球数が著しく増加しているのが特徴で、10万~20万以上になることもまれではありません。血小板増加例も多くみられます。
また、白血病細胞にはフィラデルフィア染色体と呼ばれる特有の異常がみられることが診断の決め手となります(最近では、この染色体異常と関連してみられる遺伝子の変化も、診断や治療効果判定に利用されています)。
慢性の安定状態の後に急性転化
この病気は、急性白血病と異なり化学療法だけで治癒することはなく、治療をつづけているにもかかわらず、平均数年で病状が変化し、末梢血液、骨髄[こつずい]に幼若細胞[ようじやくさいぼう](芽球)が増え、急性白血病と区別できないような状態になります。これを急性転化といいます。
急性転化を疑わせる症状は、発熱、貧血、出血傾向、脾腫[ひしゆ]の増大、腰痛、頭痛、リンパ節の腫れなどです。
骨髄穿刺[こつずいせんし]などで芽球の増加を確認すれば、診断は確定します。
安定した慢性期の状態から、慢性期の治療ではコントロールしがたくなる時期(移行期)を経て急性転化を起こすことも、慢性期から短期間の間に急性転化を起こすこともあります。
治療に画期的な薬剤が登場
慢性期の治療はインターフェロン、ハイドレアなどで行われてきましたが、最近この病気の成り立ちにかかわる画期的な治療薬が開発されました。
この病気は、フィラデルフィア染色体と関連する遺伝子がつくり出す異常なたんぱく質の作用により発病することがわかっていましたが、この異常なたんぱく質のはたらきを妨害する薬(イマチニブ)がつくられたのです。
この薬を使用すると、すみやかに血液所見は改善し、初めて治療を受けた患者さんの7~8割でフィラデルフィア染色体が消失し、なかには異常な遺伝子まで消失する症例もあると報告されています。フィラデルフィア染色体の消失、異常遺伝子の消失は慢性期間の延長(すなわち生存期間の延長)と直結しています。しかも、この効果は初めて治療する患者さんだけでなく、従来治療の中心だったインターフェロン治療の効果が不十分だった患者さんにも認められます。
イマチニブの効果で移植を判断
この薬のおかげで、患者さんの状態は改善し、急性転化が起こるのを先に延ばすことは確実にできそうですが、まだ使えるようになって日が浅いので、この薬だけで治癒するかどうかは判断できません。
この薬が登場するまでは、「治癒をめざすためには提供者がいる若年の患者さんには、診断後なるべく早く移植をする」という考え方が主流でしたが、これからは「イマチニブの治療効果を見定めてから、移植の必要性を判断する」という考えに変わってくると思います。
専門医によく相談しながら、治療を受けてください。
もし、急性転化が起こったら急性白血病に準じた治療に切り替えます。
骨髄異形成症候群
造血幹細胞の異常により起こる、中高年者に多くみられる病気です。前白血病状態と考えられています。末梢血液は、程度の差はありますが、白血球、赤血球、血小板など全ての血球の減少をきたしており、骨髄[こつずい]の造血機能不全といえる状態です。FAB分類では5つの病型に分類されていますが、最近もっと細かい分類(WHO分類)も提唱されています。
病型により急性白血病へ移行する頻度が異なります。
慢性の経過をたどることと、患者は高齢者に多いことから、強力な治療は行わず、輸血、副腎皮質ホルモン薬、G-CSF、ビタミンD3などを使用していますが、明らかに急性白血病の状態あるいは、それに近い状態になれば、急性白血病の治療を行うこともあります。
患者さんの年齢、病型によっては骨髄移植をする方法もあります。
放っておくと命にかかわる病気ではありますが、適切な治療をすれば完全に治ることも期待できます。
白血病の疑いのあるときは、まず、血液の専門医のいる、血液検査設備のととのった病院で診てもらうことが重要です。まず、血液の働きについて説明します。
血液は、血液を作る大元になっている一つの細胞(造血幹細胞)が 赤血球、白血球、血小板に分化して出来ます。
赤血球はヘモグロビン(血色素)を含む細胞で、ヘモグロビンは酸素と結びつき、肺で得た酸素を体中に運びます。
白血球は細菌感染や、炎症を抑える働きです。 よく傷口が可能した時に緑色がかった白い膿みが出ますが、これは白血球の塊です。
血小板は止血の役割をします。
白血病とは、骨髄中で血液細胞を作っている造血幹細胞が各血液細胞に育っていく段階のいずれかでがん化し、規則正しい分化?成熟過程をとらずに無秩序に増殖してしまう病気です。成人の白血病は原因がはっきり解明されていません。
がん化した白血病細胞は、無制限に増殖して、種々の臓器に侵入するとともに正常の造血細胞を圧迫して、正常な3種の血球(赤血球、白血球、血小板)が作られるのを阻害します。
その結果、それぞれの機能が働かなくなり、貧血や、感染症、出血などさまざまな症状を引き起こしてしまうのです。
なので、このHPの患者も発病から入院までに書いたような動悸や息切れ、歯茎の出血などが起きてしまったのです。
白血病は大きな分類では、急性白血病、慢性白血病があり、急性白血病は、白血病細胞の種類により、さらにリンパ性か非リンパ性(骨髄性)かに分かれます。さらに細かい分類がありますが、ここでは省きます。
より詳しい情報が欲しい方は各医療機関のHP等で見る事が出来ますので検索してみて下さいね。
いずれにしても、固形がんのように、早期発見して患部を切れば治ると言うものではないので、厄介です。
急性骨髄性白血病、分類M2
【治療法】
点滴による全身投与の抗がん剤による治療法をする。
一般的には5-6ヶ月かけて、4-5回の抗がん剤を投与し、その後5年間再発がなければ治癒と言う。
先ず最初の目標は、骨髄血中の白血病細胞が5%未満になる事で、この状態を完全寛解と言い、約70%位の人が完全寛解に達する。
骨髄移植はリスクが高いので、抗がん剤が効かない場合や、再発をした場合に行う。
治療は日本成人白血病治療研究グループ ( Japan Adulty Leukemia Study Group, JALSG ) のプロトコールに沿って行いたい。(同意の上) 白血病の治療については画一された治療法がない為、より高い治癒率や最良の治療法を目指し、多数の病院がJALSGのに参加し、大規模な研究を行っている。 この治療計画は薬剤の認可のための臨床試験ではなく、使用される薬は全て厚生省の認可を受けた保険適応のものであり、他の治療法と比べて効果
白血病生存率
落ちるという事はない。個人が特定できる情報は収集されないが、症例がどこかで発表される事はある。また検体は保存される。 との事でした。
白血病生存率
寛解導入法
白血病の発病時、体内には1012個の白血病細胞があり、重さにすると数キロ単位に及ぶそうです。
白血病生存率
この白血病細胞を初回の強力な全身科学療法(抗がん剤投与)により、1/100~1/1000まで減らします。
白血病生存率
その結果、骨髄血中の白血病細胞が5%以下に達し、血球の数値も正常になる事を、完全寛解と呼び、この治療の事を寛解導入法と言うそうです。
地固め療法
白血病生存率
寛解しても、体内にはまだ109個の白血病細胞が残っているので、そのまま放っておくと再び白血病細胞が増えてきてしまいます。そこで白血病細胞が増える前に、さらに3-4回の化学
白血病生存率
療法を繰り返し、徹底的に白血病細胞を叩きのめす必要があり、この治療の事を「地固め療法」と呼びます。
白血病生存率
【副作用】
下記のような様々な副作用がおきる可能性があります。しかし全てにではありませんが、対応策が用意されています。
白血病生存率
(この時には説明がありませんでしたが、味覚異常も起きました。それから8月には合併症で脳膿瘍も??。)
2008年5月26日星期一
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